高校3年生の現代文の授業で「海の沈黙」が取り上げられました。当時は全く本を読まない子で無教養だったのでちーとも理解できませんでしたが、ママは当時から「これはよい本だ」とカンゲキしてたのをよく覚えています。

ママは私の課題図書からイロイロ得てます。

それはともかく、先日「奇妙な敗北」を読んでたママがこの小説を思い出すと言ってたので読み直しました。

「抵抗文学」とされているそうですが、「レジスタンス」とは違う趣です。
ナチスに抵抗するフランス人を取り上げるのではなく、フランスを愛し尊敬する外国人を主人公としています。
「海の沈黙」と「星への歩み」はフランス人の描かれ方が違うのですが、どちらもとにかく切ない。

はらはらと涙が出る哀しさは決してないのですが、
読み終わったあとの胸の苦しさはなんとも言いようが無い。

人間の品格とは何か、国民の品格とはなにかを考えさせられます。

「品格」という言葉は最近濫用されて、格がなくなっているように思えますが。

ただし翻訳がやや固いので、読みにくい部分もあります。
原文で読めればなぁと思うのですが、ちょっとそれには時間がかかりすぎるので、死ぬまでにやりたいことリストに載せておきます。
序文が一番難しかった。
吾妻鏡もそうだった。
本文に入ればサクサクと読めるものです。

フランスが1940年にナチスドイツに占領されるに至ったその原因を、2度の大戦に出征した歴史家マルク・ブロックが、内側から痛烈に批判。それでも最後にはその愛国心から、次の世代の若者へ希望を託すのであります。

モーロワの「フランス敗れたり」に比べるとより具体的に感じられます。

電車の中で半分寝ながら読むのはちょっともったいなかったな。

この本の最後に彼の遺書も収められてます。
それを読みながら、どうして自分はフランス史に興味が無くてドイツ史なんだろうと不思議になってきました。

逆算というのかどうかわかりませんが、
現代社会の基礎の基礎となったのはフランス革命であり、
それ以前もそれ以後も世界の中心となってきたフランスであるはずなのに、どうして私は興味がないのだろうか。

この本を読み終わったところで、次は「過去の克服」を読もうと思っている自分がいるのです。「過去の克服」とはドイツの戦後処理についてなのね。敗北を振り返るという共通点があるのですが、もう心はすでにフランスを離れてドイツになっているのです。

やはり私の中にも日独伊三国同盟の深層心理があるのかしら。
所詮フランスも連合国で戦勝国だしね。

不思議だなー。なんでドイツなんだろうか。

ところで話は全く変わりますが、
今日の服装、あんまり考えないで出かけたらなんか、キャッツアイみたいだった。
別に、レオタードで出かけたわけではないのですが、
朝、会社のトイレにある大きな鏡でみたら、キャッツアイみたいだった。あえて言うなら泪姉。でもトシのようなダメ男はいやだなぁなどと思ったらなんか一日中不愉快でした。格好が気に入らないと一日だめじゃん?

でも今日は強制定時退社日なのでさっさと帰りました。
私だけじゃないよ、部のみんなだよ。

5時前は相当テンパった。
明日も早起きしよう。

仮面の告白

2008年1月21日 読書
想像していたストーリーとは全然違ったよ。
どんなものを想像してたのか今となってはもう思い出せないけど。

ひどく切ない、報われない恋物語でした。

ここまで自分の内面を見つめ考えることができたら、人生はもっと苦しいものかもしれない。

思いを寄せる相手への心情を描いた部分はとても美しかったと思います。
一心不乱になって自分がどこにいるのかわからなくなるほどでありました。

「小説とは何か」を読んだ後にこれだけ注釈が付いた彼の小説を読むのはなんだかおこがましいというか、気が引けました。

ま、そんなこと気にしてたら何にも読めなくなっちゃうので、本を読んで勉強します。

あんまり三島由紀夫ばっかり読むと変な夢みるからちょっと休みにしよう。
これまで未発売もしくは大全集にのみ収められていた三島由紀夫の、怪奇小説と書評および「小説とは何か」を収めた短編集。

おもしろい!
三島由紀夫のイメージがだいぶ変わりました。

三島由紀夫が面白くないというわけじゃないのよ。
「金閣寺」は全然わかんなかったけど「春の雪」は面白かったし「潮騒」はすごい好きだし。
3つともまったく違うタイプの小説だと思うのですが、その文体は共通して非常に力強いと思うのです。
でもこの短編集にある「横尾忠則論」が、そのイメージを覆す非常に軽やかな文体なのね。

言われなかったら三島由紀夫ってわからん。

そういう軽快なものがあるかと思えば、「二・二六事件の磯部の霊が取り憑いて書かせた」といわれる「英霊の聲」のような荒々しい小説もあるし。三島由紀夫を研究したくなる気持ちもわかる気がします。

短編小説では「孔雀」が怖かった。すごく不気味。
どれも「怪談」だから怖いんだけど、「孔雀」はその結末よりも主人公の深層心理が怖い。

あっという間に読み終わってしまった。
別の本と並行して読み始めたのですが先に読んじゃった。
そしてしばらくは三島由紀夫を読もうと思います。
たまには翻訳ではない本が読みたい。

昨日きむきむにイロイロ勧められたのでイロイロ買って来ようっと。
先日箱根駅伝シンポジウムで彼女の話を聞いて、おもしろそうだねーと言ってたらひろぴーが早速入手し読破していたのでお借りしました。

ボロアパートに住む陸上とは無縁の大学生が箱根を目指す物語です。

すごく久々に現代小説を読みました。
いつもかしこぶってカワバタとかミシマとか言ってる場合じゃないよ。
こういうサクサク読み進める本て読むのが楽しいね。

あっという間に読み終わりました。
シンポジウムで作者が「すごく大変だった。こんな題材選ぶんじゃなかったと思った」と言ってた通り、すごく調べ上げられて作りこまれてるなと思いました。
レース展開も、ちゃんと20チーム作って各区間の展開を決めてるんだよ。あたりまえだけどそれってすごい。

箱根駅伝好きとしてはとても楽しめました。
文庫でないのが残念ね。重い。

あー!お正月が楽しみだ!
今年は大手町に行こうと思ってたのですが、往路はテレビで見ようかな。

そう、駅伝じゃないんだけど、今年の出初式、日曜日なんだぜ!
いつも出初式って平日で見に行けないんだけど、今年は心おきなく行けるんだぜ!
混んでるだろうなー。
まだ読み終わってませんが、読めば読むほど米原さんが亡くなったのが本当に惜しい。

彼女なら今回のロシア下院選挙を、年金問題を、なんと言っただろうかしらと考えると、本当に惜しい。

雑誌に連載されていた読書日記と新聞に掲載された書評をまとめた本です。
読んでいる本のカテゴリーが無限。
この本を読んでいると、自分は到底通訳者にはなれないと思うし、通訳に必要なのは語学力ではなく教養だなとつくづく思います。

彼女のように、教養に裏打ちされた歯に衣着せぬ批判のできる人ってあまりいないと思う。
昔TBSの朝の番組(みの以前)で、キムタクがアジア映画界へ進出とわっしょいわっしょい盛り上がっているニュースに「でもキムタクはダメよ、口元がだらしないから」と言い放ちアナウンサーを凍らせた場面は今でも鮮明に覚えています。これは教養は関係ないけど。
朝から爆笑させてもらいました。
その後すぐ降板となってしまい大変ザンネンでした。

本当にカテゴリーを限定することなく本を読んでいるので、自分では絶対に手を出しそうに無い本や見つけられそうも無い本がたくさん出てきて、どんどん読書したくなります。
ただ本の評価をしているだけでなく、時事ニュースにも物申しているので面白い。小泉純ちゃんがハッスルしていた時期なので、そのハッスルぶりをバッサバッサと批判してます。
それでも2002年W杯日本対ロシア戦を一緒に観戦してたりする。

様々な本の中でもやはりロシアに関る本についてはさすがで、伝記モノなんかはかなり読んでおられるようで、その中から選ばれているから信頼できる。
最初のほうに出てくるゴルバチョフ回想録からもうすでに読みたい。でもすごいボリュームなので「知られざるスターリン」にしておこうかと思います。

本当に惜しい人を亡くしたと思います。

とりあえず大江健三郎を読もうかな。

審判

2007年11月26日 読書
独検のためしばし中断していましたが今日読み終わりました。

カフカ好きなのです。海辺じゃないほう。
芥川龍之助に似てると思うのです。

あれ?芥川龍之介?どっち?

最近ハヤリの新訳モノですが、私はこの人の訳を読んでみたかったのです。
日本のカフカ研究の第一人者と勝手に思ってるから。他に知らないんだけど。
この人の本は面白くて、カフカにかける情熱が伝わってくるのです。
だからそんな人が訳すカフカってどんなのかしらと思って。

読み比べたわけじゃないけど。

ストーリーは、「変身」に負けず劣らず奇妙奇天烈です。
読んでてだんだんイライラしてくるんだけど最後まで読まずにはいられない。

主人公の日常が、少しずつ少しずつずれていき、当の本人はそれに気が付かない、と訳者は解説してます。

なんだかマギー司郎の手品を見ているようです。
タネがわかってるのに見ずに入られない。
はっと気が付くと煙に巻かれたようにトリックに引っかかってて、そのタネはわからない。

おもしろい!
とか
おすすめ!
という作品ではありませんが、カフカっぽい気がします。
変身しか読んだこと無いけど。

今度は「城」だな。その前に吾妻鏡買わなきゃ。

ちなみにカフカはチェコ人ですがドイツ語で小説を書いており、その原文はドイツ語の長文読解に最適と言われています。
なんだっけな、主語が常に明確で、3人称で話が進められるからだったかな?とにかく読みやすいんですって。

読みにくいのはトーマス・マンだってドイツ人がみんな言います。
ページの左上から始まって右下で終わる文章とか平気で出てくるんだって。形容詞の語彙が相当ないと読めないそうです。おそろしや。

そういやギュンター・グラスの自伝はいつ出るんだろう。
そろそろ1年くらい経つのにな。
ドイツ語の文法書を探しに行くつもりで本屋に入ったのに、買ってきたのはこれと自転車雑誌。
雑誌2冊で2260円だぜ!

CUTは690円ですけど。
自転車雑誌が高いのです。

「哀・戦士」公開当時のポスターがかっけぇ。
12月に劇場版メモリアルDVDボックスが発売になるそうで、一体いくつメモリアルを発売しガンダマニアを破産させるつもりなんでしょうか。

ファースト、Z、ZZかな?の名シーンを取り上げて解説してあります。さすがにビグ・ザムをモビルスーツなどと呼ぶことはしてません。
いやー何事も難しく考えることに出来る人っているのね。
なにもそこまで複雑に考えなくても・・・と思うレビューです。

富野氏のインタビューの後に、ガンダム好きの芸人による対談も出てます。ナントカおさむ、品川、井上、ラーメンズの人。
品川かっこつけすぎでキモイ。マジキモイ。
同じ芸人なのに井上とずいぶん顔の造作が違うね。

「ガンダムの何が好きですか」の問いに、本当に一言で答えられる人ってきっとほとんどいないだろうね。
30秒以内に答えてくださいって言われたらすごく困るもの。

あえて言うなら、ありえない言い回しを使いこなす若者たちかしら。
ブライトさん19歳ですから。さん付けしてますけど未成年ですから。

いや、武士・ランバ・ラルだなやっぱり。
ありゃ宇宙世紀のラストサムライだからね。

しかし連邦軍の制服はダサいな。

雑誌の後半は普通に映画の話です。
今度やる、ハンガリー動乱を舞台にした映画の主人公を演じる俳優のインタビューが出てるのですが、この人がまーかっこいい。
こりゃ見るしかないね。ドナウに流れる君の涙とかそんなキザなタイトルです。

アレコレ見たいと言ってるばかりで映画を見に行くヒマがない。
オールで飲んでる場合じゃないよ。プロパガンダとか見てる場合じゃないよ。
結局母を訪ねる映画もピアフも見てない。そうこうしている間に4分間のピアニストが始まってしまう。
でも週末は宇都宮に自転車レース見に行くし来週はスウェーデンドキュメンタリー映画祭りだし、芸術の秋は忙しい。
右上のところに「ベルリン陥落 1945 9月26日」ってなってるけど、日付はタイトルと関係ないですよ。陥落は5月8日。9日に降伏文書署名。


ヒトラーとスターリンによる殱滅の応酬を経て、最終章、戦場は第三帝国の首都ベルリンへ…。綿密な調査と臨場感あふれる筆致、サミュエル・ジョンソン賞作家による、「戦争」の本質を突く問題作。


3年前の話題作。
このボリュームで4000円は安い。

研究者にとっては目新しい事実は無いらしいですが、臨場感溢れる語り口、赤軍兵士の行動に詳細に言及しドイツ人の被害者としての側面にも光を当てている点は新鮮。

しかしこの本を位置づけるとすると、歴史小説かしらね。

研究書としては歴史書としても戦史書としても物足りない、でも様々な資料を基に事実に忠実に描き出されております。

ベルリンに近づくにつれて、知ってる地名が出てきて個人的には臨場感溢れます。
ベルリンに入ってからは「あああそこの通りか」などと思い浮かんできます。
ベルリンの地図捨ててきちゃったんだけど(@_@)いいんだまた行くもん。

しかし時々妙な訳文が出てくるのでせっかくの臨場感がふっとんでしまうことがあります。
かといってこれ原著を読むほど軍事用語に詳しくないし・・・(@_@)

個人的にはとても面白かったです。ベルリン好き歴史好きだから。でも電車の中で読んでて、吊るし首にされた逃亡兵の写真とか出てきちゃってまずかったです。すみません。

終末に近づくにつれ、どうしてみんなその手をとめることができなかったのか、切ないくらいに不思議です。
途中でやめることはできたのではないかしらと思うので、すべてをナチスの罪にしてしまうのは違うなぁと思います。
もちろん一般ドイツ人にも、犠牲者はたくさんいたけれども。

これを読むと、一体どうやってフランスを占領することが出来たのかと頭をひねってしまいます。
「フランス敗れたり」とチャーチルの回想録と合わせて読むと面白い。もしくは「ヒトラー最期の12日間」を観てもいいと思います。
ドイツ兵の回想録などもあり、読みたいものであります。

戦争に興味があるというよりは、戦争に参加した人、戦争を動かした人たちが当時何を考えて行動していたのかに興味があるのです。だから戦車の名前とか全然興味ないよ。

話は飛びますが、語学学習書に「SS式」というものがあるのです。英語とかフランス語とかタイ語とか。そのシリーズにドイツ語もあるのですが、本屋の棚で「SS式ドイツ語学習」って、そりゃないでしょとうっかりずっこけるところでした。

Kraft durch Frucht?
それはちょっと…。

君主論

2007年8月29日 読書
別に内閣改造にあわせて読んでいたわけではないのですが、なんとタイムリーな内容でしょう。

ぜひとも新閣僚に読んでもらいたいね。

軍隊のところとか、側近を裕福にしてやりなさいとかそういうところは現代には通用しませんが、大筋では「そうだよねー!」ということがたーくさん書いてあります。
いわゆるマキャベリズムは日本には適用されないと思うけれど。
日本人てたいがい性善説でしょ。ちがう?

特に印象的だったのは
「側近を見れば君主が偉大な人物かどうかわかる」
「モーセがその名を偉大なものとするには、イスラエルの民はエジプトで奴隷になっていなければならなかった」

他にも、若い君主がやるべきこととかたくさん書いてある。

首相!
ゼヒ読んでください!

舛添さんはまさにエジプトへ来たモーセですな。
モーセとなるための土台は山のようにありますぜ。
モーセになれるかな?
「星の王子さま」はなぜわかりにくいのか、その原因は翻訳者の翻訳力(フランス語力)と誤訳をほったらかしにしていた出版社のせいであると、最近の新訳を含めてぶった切った1冊。

ママは面白いと言ってましたが、うーむどうでしょう。

確かに「星の王子さま」はなんだかフワフワした妙な日本語で、わかりにくかった。その間違いを丁寧に、辞書(仏仏、仏和あわせて)の引用を交えて文法的に解説している点は、長年の謎が解けたようで目からうろこが落ちる思いがする。
翻訳界のタブーを破ったような著書で、「よくぞ言った!」と喜ぶ人も多いだろう。

しかし私は、手放しで賞賛することはできない。
まとめてみると数々の点で疑問を感じる。

まず、「はじめに」で著者が「初級フランス語文法ができればわかる」が述べているが、読み進めていると「フランス語の知識の無いものお断り」といった解説が多くなってくる。
フランス語のわからない私は、著者の怒りの勢いで、納得させられたような、煙に巻かれたような気のする部分も多くあった。
新訳比較のところで英訳も掲載しているが、英語もフランス語も得意でない人はどう思ったのだろうか。

次に、英訳に対する著者の態度。
内藤濯はじめ日本語翻訳者のことは科学的に、メッタクソにぶった切りつつ、英訳に対しては単に「欧米語はうらやましい」と両手離しで認めている。東大の名誉教授なのだから英訳の検証も済ませているのだろうと思うのだが、そういった肩書きを背景とした賞賛を本書の出だしでメッタクソに言っているところ、もうちょっと英訳の検証に言及すべきだったのではないかと思う。

文体から、著者の教養がにじみ出ていない。「はじめに」で著者自身も認めている通り本当にえげつない。
書いている内容はフランス語の第一人者の書いているものなのだろうが、文体だけを取り上げるとじじいたわごとにしか響かない。今時「女子大生」「女子学生」という単語を使うのは時代錯誤だ。「星の王子さま」を読んでいるのは女性だけではないはず。
また、作品も読んだことの無い作家を指して「アホ」などというのは、おごりなのではないかと思わせる部分も多い。

そんなに怒ってんだったら、なぜ独占出版権の期限が切れる前に、内藤濯に対する怒りの書をしたためなかったのか。そうすれば新珍訳が出る可能性も低かっただろうし、わざわざ新訳に怒る必要もなかった。
「珍訳と出版社に怒っている」という割には、翻訳者だけを厳しく糾弾している。出版社への責任を問う内容も盛り込んでいればもっと面白かったと思う。

主張が首尾一貫していないところもある。
余計な言葉をつける必要はない、うつくしい翻訳は忠実な翻訳だと繰り返し批判することもあれば、別の箇所で補われている語は「コレは必要である」と認めることもある。
フランス語を愛し、欧米語に憧れを抱くあまり、日本語を蔑視している印象がある。ひとつのフランス語の文章が、様々に訳されているところは、日本語の語彙の豊かさと解釈することはできなかったのだろうか。

この本は、訳本に疑心暗鬼を抱かせるだけ抱かせておき、「原語で読むか自分で訳すべきだ」という解決策しか示さない。
みんながみんな東大教授ではないので、そんなことはできない。
著者自身が「翻訳者は言語と言語を橋渡しする渡し守」と言いつつそういった解決策を示すとは、恐れ入ります東大教授。
みんながみんな、世界中の言語を取得できるわけないでしょ。
それともアホには異国の文学を楽しむ資格はないということでしょうか。

これだから東大は、といわれても仕方ない。
「これが新書だ」と思わせる1冊でした。

チャーチルって名前は知ってるという人がほとんどだと思うのですが、そのチャーチルがどんな人物で何をしたのか、イギリス現代史とともに描き出す概説書です。

チャーチルの話になる前に、彼の先祖・モールバラ公爵の時代である18世紀から話は始まります。チャーチルの政治生命は、彼の父ランドルフに負うところが多く、さかのぼっていくと18世紀くらいまで戻っちゃうみたいです。

難しい用語は少ないけれど(難しい漢字が多かった)、イギリス現代史の知識がないとやっぱりちょっと厳しい。
ウィッグ党とトーリー党とか、議会民主主義の誕生とか、ディズレーリとか。

しかしイギリスの現代史を知るのに非常によい本だと思います。
チャーチルを中心にしているから、退屈しない。

チャーチルは戦時内閣の首相として有名ですが、第二次大戦の直前までは、すっかり落ちぶれた政治家だったんですよ。
彼は帝国主義者で、インドの独立に大反対してたのです。
ガンディーがロンドンへ円卓会議に参加することになったときも「ぼろきれ1枚まとって会議に出席するなんて言語道断」といっていたくらいです。

結局二次大戦は、イギリス帝国の没落とアメリカの台頭という結果に終わり、イギリスはヨーロッパの一国に落ちぶれてしまったわけですが。

彼の自伝「第二次世界大戦回顧録」を読んだだけでは「ほんとにドイツの危険性を前からわかってたの??」と疑ってしまうところですが、本当に時代を先駆けすぎてて人気がなかったんだなぁというのが良くわかります。
ドイツの脅威について、誤差はあるものの、イギリスの脆さは充分理解していたようです。

ヒトラーと比較されることの多いチャーチルですが、
ヒトラーは戦争がしたくて首相になりましたが、チャーチルは戦争によって政治家生命が救われたのです。
戦争がなければ、彼は落ちぶれた政治家で終わっていたでしょう。

残念なのは、こちらの本にもドレスデン空襲について特に何の言及がないところです。
関わってなかったにしても、なぜ全く触れられないのでしょうか。
イギリスのうしろめたさを感じます。

コレを読んでから回顧録を読むほうがいいかもな。
また読みたくなったもの。読む本があるからまだ読まないけど。
久々にタイトルと目次にだまされたというかのせられた。
タイトルと目次からは、プロパガンダについてかと思ったのですが…。
期待したほどではなかったというか、期待はずれだった。

ナチスが用いた「言語」を5種類に分類し、それぞれについて具体的事例を示しつつ、ナチスがどのようにドイツ国民にナチズムを浸透させていったか、民衆はそれに対しどう反応したか、を検証しています。
5種類とは、演説、映像、教育、ジョーク、夢。

各項目とも、具体的事例が非常に多く挙げられています。さらには様々な研究文献も挙げられているのですが、全体的に「無理矢理難しいものに仕立て上げた」という感じがします。

ナチス研究は様々な視点から研究されているので、こういうものもありなのか、と納得できる反面、「それは、ナチ主義者の主張と何が違うの?」と疑問に思えてくる点も多い。

具体的には一番初めの演説の部分。
ヒトラーの演説には聖書をもじったものが数多く使われており、それをもってヒトラーはナチス党を宗教的なものに高め、ドイツ国民が受け入れやすい形に仕立て上げた、というものなのです。

しかしそれは、裏返して言えば「ヒトラーはイエス的存在であり、むしろイエスのできなかったことを成し遂げる存在である」と主張するナチスと同じなのではないでしょうか。

ここはちょっと、読んでて気持ち悪かったな。
研究というか、「わが闘争」を聖書のように読み耽る感じに似ていると思った。ヒトラーの演説からキリスト教的なものを拾い集めるという行為が。

「映像」では、やたらと詳細な「意志の勝利」の情景描写とその場面の持つ意味の解釈が延々と続き、「教育」では逆に、ナチス的ではない教師もいたという事例を紹介しています。

このあたりから、なんか本の筋道が良くわからなくなってきた。
「ジョーク」でも具体例を挙げつつ、なんだか非常に小難しい解釈をしています。

最後の「夢」はもう読みませんでした。ばかばかしすぎて。

当時意味のなかったもの(流行のジョーク、老人の夢など)に意味を見出そうとするあたりが、なんだかナチスの裏返しのような感じが否めませんでした。

がっかりだったなー。
くよくよと悩んでいるときは、なぜか文豪の名作を読むことが多い。
前回は「蜘蛛の糸」から始まって、新潮文庫の芥川龍之介をほぼ全部買い揃えた。
その前にも、就活で悩んでたときは「若きヴェルテルの悩み」と「ヴィルヘルム・マイスターの遍歴時代」を読んだ。

というわけで今回は、川端康成「雪国」です。
「春の雪」の続きにしようか「平家物語」の続きにしようか悩みましたが、日本人たるもの川端康成をたしなんでおかないとね。

日本の翻訳者や通訳者がフランスに言ったときに「三島由紀夫と川端康成は何が違うのですか?なぜ三島ではなく川端がノーベル賞を取ったと思いますか?」と質問されて絶句したという話を何度か読んだことがあるのです。

ジャーマンテクノを聞きながら読んでるのであまり頭に入ってきませんが(@_@)

おもしろいです。言葉が綺麗だね。
何度か言っているような気がしますが、私好きなんですよ米原万里さん。
去年若くして(56歳)亡くなられて本当に残念。

この本がすごい本だという意味ではなく、米原さんが出会ったすごい本の話です。週刊文春に連載されていた米原万里さんの読書日記と、各新聞に掲載された書評をまとめたものです。

出だしから「ゴルバチョフ回想録」など出てきて大絶賛されてて、さっそく読みたいです。

あっという間に読み終わってしまいそうでもったいなくて読めません。読むべき本はうちにたくさんあるんだけど、この本にもたくさん面白そうな本が出てて、キリがありません。
うちにあるものから読んでいかないと。

この本の内容とは違いますが、米原さんの話を読んでいると、自分は到底通訳者にはなれないだろうなと思えてきます。普段たとえば英語やドイツ語のニュースを見ている時、自分では意味がわかっても、ママとかに「なんて言ってんの?」といわれると、ものすごい大雑把な要約しかできません。

「外国語を理解する」ということと、「外国語の内容を正確に伝える」というのは全く別の能力だなと思います。

もちろん私は通訳になる勉強をしたことがあるわけでもなく、ただ外国語の勉強が好きなだけで、ある意味資格マニアとあまり変わらないレベルなんじゃないかと思えるくらいです。
いや、でも外国語は、ただ持ってるだけの資格よりは役に立つぞ。その国に行けばの話だけど(@_@)

理解した外国語を、別の言語に変換し、意味だけでなくニュアンスも正確に伝えるなんて、一体どんな脳みそがあれば出来るんだろうと思います。

どの言葉にも類義語はたくさんあるし、どの言葉も1対1で訳すのは難しいと思う。同じ言語グループ内だって難しいんですもの、日本語とロシア語なんて、想像がつかない。

映画「Lost in Translation」では、CM撮影のシーンで、監督の意図するところだけを通訳のMsカワサキは伝えておりましたが、本来の通訳者の仕事ってああいうことじゃないと思う。
あそこはデフォルメだなと思いますが。

そう思う反面、世界に伝えたい日本の文化や伝統もあるし、日本に伝えたい世界の文化や実像もたくさんある。ドイツ人が日本人に全く似てないとか、日本の礼儀作法とか、伝えたいことはたくさんある。

外国のことはともかく、日本のことは日本人が伝えなければいつまで経っても伝わらないのだから!などと使命感に燃えるときがたまにある。

何の話だったかな?
私も米原さんの真似して読書日記つけようかな。

坊ちゃん

2006年1月21日 読書
道後温泉に行くので、予習。
竹を割ったような性格の主人公をめぐる、竹を割ったようなすがすがしい話だった。
舞台は四国だけど、それだけに江戸っ子の義理人情とか、べらんめぇとかが際立ってて可笑しい。

文学的な意義とか、主題とか、全然解りませんが、
面白かったです。

今度は吾輩は猫であるを読んでみようかな。
読む本が多くてなかなか順番が回ってこないけどね。

春の雪

2005年10月28日 読書
つまぶきくんはそれほど好きではないし、
竹内結子も好きではないのですが、
先日の夕刊に、美輪様が映画を絶賛されている記事が出ていたので、原作を読んでおります。
映画にも興味を持ったのですが、これは先に原作を読んだほうがいいかなと思いまして。

しかし、原作を読めば読むほど映画を見る気がしなくなってきました。
読む前は観ようかなと思ってたのですが。

単なる恋愛小説ではないのですね。
最初のほうは青年期の悶々とした欲望の話かと思ったのですが、途中突然ヨーロッパ自然法とか、マヌ法典とか出てくるのです。
それが、三島なんですかね。

イエモン好きとしては、美輪様および三島由紀夫は避けて通れない道かなと思いまして、一応金閣寺を読んだことがあるのです。
寺山修二はまだ手が出ませんが。

しかし、金閣寺はあまり自分には合いませんでした。
その前に、潮騒という短い小説を読んだことがあります。
三島作品の中では異色といわれる、さわやかな小説で、2回ほど読みました。

春の雪は、まだ50ページほどしか読んでませんが、
どちらかといえば潮騒に近い感じがします。

面白いですよ。
豊饒の海シリーズは全部読もうかなぐらいの勢いです。

闇の奥

2005年7月25日 読書
前にちょろっと話題にした、難解小説はコレです。
ナイン・ストーリーズとは違った難解さ。
サリンジャーは、意味不明なんだけど、
闇の奥は、この小説の意図するところがサッパリ。

アフリカを舞台に文化人類学を考える小説らしいんですが、
ちーっとも理解できませんでした。
そのため、うちに本すら残っていません。

コレを元に、地獄の黙示録が作られたといわれているそうで。
ちらっとストーリーだけ見ると、確かにそんな感じ。

アメリカのテレビで、「真・地獄の黙示録」というのがあって、
それはこの小説を映像化したものなのです。登場人物とか舞台とかね。
なんでそんなマニアックなものを見てるのかしら、私。
地獄の黙示録は見てないのよ。
だってこの小説があまりに難しいんですもの。

ティム・ロスとジョン・マルコビッチが出てるのよ。
でも、ティム・ロスが蒸気船かなんかで河を渡っててピンチになるところぐらいしか思い出せない。それも間違ってるかもしれないです。

何度読んでもきっと永遠に理解できないんだろうなという気がして、
再読する勇気が湧いてきません。
やっぱり難しいぜー。
死と向き合った人間のお話のようです。
文章の意味がわからないんじゃなくて、
この小説でヘミングウェイがナニを言いたいのかがわかんないの。

これを読んでて、大学の授業で読んだやっぱりアメリカの小説で、
サッパリ意味がわからなかったものがあったんだけど、
タイトルが思い出せない。
映画化されてて、ティム・ロスが主演なの。
地獄の黙示録も、その小説に触発されたとかじゃなかったかなぁ?
なんだっけなぁ。

Banana fish (19)

2005年7月13日 読書
あーおもしろかった。
マスカラが落ちるほど泣けます。
いつ読んでも同じポイントで泣けます。

ネコを飼う時は絶対アッシュって名前にしよう。
トラネコね。
でクロネコも飼うの。名前はもちろん英二ね。

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