そういうタイトルをつけられたら、読まないわけにはいかないじゃないか。

著者はウィーンの文化史なんかについても書いている方のようで、まちがいはなさそうだなと思ったし、即買いでした。

ベルリンの起源から、プロイセンの首都として繁栄していくその流れは、ベルリンの歴史というよりはドイツの成り立ちの歴史としてとてもわかりやすかったです。著者の得意分野(?)とするウィーンとの比較なんかも面白い。

ウィーンと違い、何もなかったところに大国の威厳を持たせようとする王たちの都市計画が描かれています。

ベルリンの中心地が東から西へと移っていく様子(ウンター・デン・リンデンからクーダムへ、王宮からヴィルヘルム通り、さらには共和国広場へ)など、現在のベルリンの街の原点がわかって、とてもおもしろい。

ドイツの近現代史を知るのにとてもよい本だなと思いました。

がしかし!

戦後から壁ができてからの時代に下ってきたところで、突然著者の思い出話となってしまいます。
それまでは、史料に基づいた厳然たる概論史であったのに(フンボルト大学のところはやや感傷的ではあったけれども)、分断されたベルリンのところになると、著者の留学時代の思い出満載となってしまい、しまいには自分の記念撮影写真まで掲載されておりました。

実に惜しい!
壁時代の話はほとんどが東ベルリンの話で、ドゥチュケの話もRAFの話もぜーんぜん出てこない。
壁崩壊後については、ポツダム広場の発展や議事堂の再建などが中心で、あの有名なモニュメント設置までの議論とか、完全に省かれており、とくに統一後の話は省略気味。

ちなみにナチス時代のベルリンについても、焚書を嘆く記述がほとんどで、ユダヤ人迫害というよりは、ユダヤ人による知識の喪失を中心に書かれているようです。

パリやウィーンと違って、短い期間に濃い歴史が凝縮されている街なのですべてを描くことはできないのかもしれませんが、思い出話になってしまうのは、「歴史」の本としてはいただけないと思います。「旅」の本なのかな。

とはいえ総じて面白いしいろんな文献が紹介されているのでなかなかよかったです。次はワイマール日記読もうっと。大学の図書館に上巻だけあったような。

ということで今日も東京からベルリンに思いをはせているわけです。
早く行きたい。

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