色つきの悪夢

2010年8月13日 日常
帰ってきてたまたまNHKをつけっぱなしにしてたら始まっちゃったんで見ちゃった番組が、大変興味深いものでした。

「色つきの悪夢~カラーでよみがえる第二次世界大戦~」
http://www.nhk.or.jp/frontier/color/index.html

CSやBSでは夜中とかによく放送されてた映像なんだけど、ちゃんと見たことはなかったのです。モノクロは何度か見たけど。

非常に良かったと思うのは、およそ戦争や歴史からは縁遠い若者を呼んで映像を見てもらって、思ったことを話してもらうという形式。
「若い世代に、もっと戦争について見て、感じて、考えて欲しい」というメッセージが伝わりますね。

中山エミリはビミョーだったけど、みんなそれぞれ考えて、感じたことを話してました。

こういうの、もっと学校教育の現場でやればいいのにと思う。

何度も見た映像でも、色がついているだけでかなり印象が違うのね。
血の色が赤いから怖いとか、そういうレベルではなく、どこか映画のような、非現実的だったモノクロ映像に色がつくだけで、現実味が増すし、非常に身近なものに感じられました。

元気になった柳澤さんの解説がとてもよかった。
うっかり見過ごしてしまうポイントをさらりと挙げ、さらには国営放送の反省も述べるなんて、只者ではない。
つまり、こうした戦争の映像はすべて従軍カメラマンが撮影したものなので、国にとってポジティブな形でしか編集されていないこと、その映像がプロパガンダに利用されてきたのであり、NHKもその役目を担っていたことへの反省。

ニュース映像を見ることになんの疑問も感じない私たちの世代は、映像の誕生したばかりの時代の撮影方法にまで考えが及ばないと思うの。

さらに、最後に柳澤さんの述べた「死者がその全身を賭けて、戦争のむなしさをわれわれに訴えかけてきているため、彼らの死体から目を背けてはならない、だからあえて放送するのだ」という言葉は非常に重いと思う。

死者の尊厳を重視するという意味で、死体を放送することは避けられているけれども、そもそも戦争のなかに、命の尊厳というものはなく、犠牲になった人ひとりひとりに家族があり人生があった。それを一切の無としてしまうのが戦争なのである、ということを、戦場の映像が現しているのだ。

「残酷だから見せない」ではなく、残酷だから見せるのであり、その恐怖を脳裏に焼き付け、二度と同じ過ちを繰り返さない、と強く思わせるためにも、こうした映像はもっと教育現場で活用されるべきだと思う。

熱いやかんは触わらなければ熱いとわからないのだもの。

近頃のこどもは、転ぶ前に大人が支えてやり、危ないものには近づけないようにしているから、転んでも手が出せないんだって。
転んだことがないから、転んだ時には自分で体を支えなければならない、ということがわからないんだって。

痛みを知らないまま育ってしまうから、人を傷つけてしまうのではないかしら。ナイフで刺したら人はケガをするということを知らないかのように。

まぁ、戦争の映像が人格形成を助けるとはいわないけれども、もっと歴史教育の意味を考えるべきだと思う。

そんなフライデーナイト。非常に充実しています。

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