岩波ホールで先週から1ヶ月間、「海の沈黙」デジタルリマスター版を上映しております。
→こちらのDVDは新しいものですが、上映作品はジャン=ピエール・メルヴィル監督の処女作だそうで、1947年製作です。
原作はヴェルコールによるもので、出版は1942年!占領下のフランスで、有志の尽力によって出版にこぎつけたそうです。
「海の沈黙」は高校の現国の授業の題材になったことがあり、本を読むことが好きではなかった当時はその内容や文学的価値?にまったく気づきませんでしたが、最近になって読むと、フランスのフランスらしさが端的に表されていて、とても考えさせられる作品であります。
胸のうちに秘められた占領への屈辱や怒りを、文章には表さず、そのあっさりとした表現がむしろその裏にある感情を忍ばせている、と思います。
すごく詩的な文章なので、映像にするとどうなるのかと興味がありました。
「ナチスと映画」という新書にあったナチス関連映画一覧に載っていたので映画化されているのは知ってましたが、ツタヤにはなさそうだなぁと思っていたところ、岩波ホールがやってくれました。
映画は映画で、胸の内の屈辱が、徐々に動揺となっていく様子が老人と姪の表情やしぐさから伝わってきて、原作とは違ったよさがありました。
小説の映画化って、だいたいガッカリに終わってしまうんだけど、これはとてもよかったです。
映画版の冒頭に、「ナチスによって行われた大量虐殺が人々の記憶に残り続ける限り、この映画における独仏関係の問題は解消しない」というスクロールが出てくるのね。
映画製作が47年だから、ドイツに対する厳しい姿勢が最初にばーんと出てきたから、どんな映画になっちゃってるのかしらと思ったけど、ドイツに対する悪意のある演出はなく、かなり原作を忠実に映像化しているなと思いました。
パリでの議論の場面とか、ドイツ娘のくだりなんかは強烈だったけどね。
ラストは小説と違ってて、出発する将校が棚の上においてあるアナトール・フランスの本を手に取るのね。
そこには切抜きが挟まってて「罪深い命令に従わない兵士は素晴らしい」と書いてあるのね。
それを読んでいる姿を見送る老人は、それでも声をかけず、将校は出発していく、というラストなのです。
最後のメッセージは、最初のメッセージと相反するものがあるような気もするんだけど、何か希望が持てる終わり方だったので、よかったなと思います。
フランス語いいですな。
将校が完璧な(のかどうかわかりませんけど)フランス語を操るドイツ人という役を完璧にこなしているワ。
姪が最後に振り絞るAdieuが非常に切なくて感動します。
今度この2008年版も見てみようかな。
→こちらのDVDは新しいものですが、上映作品はジャン=ピエール・メルヴィル監督の処女作だそうで、1947年製作です。
原作はヴェルコールによるもので、出版は1942年!占領下のフランスで、有志の尽力によって出版にこぎつけたそうです。
[物語]
1941年、ドイツ占領下のフランスの地方都市。1人の老人とその姪が暮らす家に、ドイツ軍将校ヴェルナーが同居することになった。ヴェルナーは音楽家で、フランス文化に尊敬の思いを持ち、毎夜、その気持を老人たちに語るが、彼らは沈黙をもって答える。そんなある日、ヴェルナーは休暇を利用して、念願のパリを訪れる。そこで彼が知った事実は……。
「海の沈黙」は高校の現国の授業の題材になったことがあり、本を読むことが好きではなかった当時はその内容や文学的価値?にまったく気づきませんでしたが、最近になって読むと、フランスのフランスらしさが端的に表されていて、とても考えさせられる作品であります。
胸のうちに秘められた占領への屈辱や怒りを、文章には表さず、そのあっさりとした表現がむしろその裏にある感情を忍ばせている、と思います。
すごく詩的な文章なので、映像にするとどうなるのかと興味がありました。
「ナチスと映画」という新書にあったナチス関連映画一覧に載っていたので映画化されているのは知ってましたが、ツタヤにはなさそうだなぁと思っていたところ、岩波ホールがやってくれました。
映画は映画で、胸の内の屈辱が、徐々に動揺となっていく様子が老人と姪の表情やしぐさから伝わってきて、原作とは違ったよさがありました。
小説の映画化って、だいたいガッカリに終わってしまうんだけど、これはとてもよかったです。
映画版の冒頭に、「ナチスによって行われた大量虐殺が人々の記憶に残り続ける限り、この映画における独仏関係の問題は解消しない」というスクロールが出てくるのね。
映画製作が47年だから、ドイツに対する厳しい姿勢が最初にばーんと出てきたから、どんな映画になっちゃってるのかしらと思ったけど、ドイツに対する悪意のある演出はなく、かなり原作を忠実に映像化しているなと思いました。
パリでの議論の場面とか、ドイツ娘のくだりなんかは強烈だったけどね。
ラストは小説と違ってて、出発する将校が棚の上においてあるアナトール・フランスの本を手に取るのね。
そこには切抜きが挟まってて「罪深い命令に従わない兵士は素晴らしい」と書いてあるのね。
それを読んでいる姿を見送る老人は、それでも声をかけず、将校は出発していく、というラストなのです。
最後のメッセージは、最初のメッセージと相反するものがあるような気もするんだけど、何か希望が持てる終わり方だったので、よかったなと思います。
フランス語いいですな。
将校が完璧な(のかどうかわかりませんけど)フランス語を操るドイツ人という役を完璧にこなしているワ。
姪が最後に振り絞るAdieuが非常に切なくて感動します。
今度この2008年版も見てみようかな。
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