シリーズ現代ドイツ史のなかでは、なじみの薄いタイトルかもしれません。

事実、ドイツ史好きな自分も結構最近まで68年運動についてはなにも知りませんでした。

68年運動について知るきっかけとなったのは、ベルリンで通っていた語学学校での授業。
ドイツ(あるいはベルリンの文化)における戦後について取り上げた内容で、戦後のドイツ人がどのようにナチスという過去と向き合ってきたか、というものだったのです。

この本では、68年運動および68年世代が現代ドイツにどのような影響を与えたか、当初の活動内容からその変遷、そして現在のドイツで躍進を続ける緑の党の歴史などを扱っております。

そもそも68年運動が、現在のドイツの代名詞とも言える環境への取り組みや反原発・平和活動などにつながっている、という点は初めて知ったので、大変驚きでした。

68年運動というのは、戦後世代が学生となり、自分たちの両親がナチスとどうかかわってきたのか、正面きって問いただした世代です。
ちょうど同時期にナチスの大物アイヒマン裁判が行われ、被告人席で彼が「私はただ上の命令に従っただけ、設計図をひいただけ」と主張したことをきっかけにしています。

そうち運動の構造は権威主義への対抗という形になり、そこから過激化した活動家がRAFというテロ活動家になりました。
活動の過激化から暴力を生み出した反省から、68年世代の主張の中心は、女性の社会進出や環境保護といった「新しい社会運動」へと転換していったのだそうです。

いままで冷戦時代のドイツというと、東ドイツに焦点が当てられることが多かったというか、冷戦時代のドイツ=抑圧された社会主義というイメージが無意識のうちにあり、ベルリンでもDDR時代の生活様式や人々のくらしなんかはよく紹介されていたのですが、「じゃあ西ベルリン・西ドイツの人たちは何をしてたのかな?」という疑問は常にありました。調べたことはないけど。

本書を読んで、その疑問が解明されるきっかけになったかなと思います。

積み重ねられた歴史を知るということは、本当に面白い。
現代を読み解くのに歴史を知ることは不可欠だと改めて思いました。

本書を読んで、「ベルリン 記憶の場所を辿る旅」を読んでベルリンへ行けば、エキサイティングなベルリン旅行ができること間違いなし。

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