「これが新書だ」と思わせる1冊でした。

チャーチルって名前は知ってるという人がほとんどだと思うのですが、そのチャーチルがどんな人物で何をしたのか、イギリス現代史とともに描き出す概説書です。

チャーチルの話になる前に、彼の先祖・モールバラ公爵の時代である18世紀から話は始まります。チャーチルの政治生命は、彼の父ランドルフに負うところが多く、さかのぼっていくと18世紀くらいまで戻っちゃうみたいです。

難しい用語は少ないけれど(難しい漢字が多かった)、イギリス現代史の知識がないとやっぱりちょっと厳しい。
ウィッグ党とトーリー党とか、議会民主主義の誕生とか、ディズレーリとか。

しかしイギリスの現代史を知るのに非常によい本だと思います。
チャーチルを中心にしているから、退屈しない。

チャーチルは戦時内閣の首相として有名ですが、第二次大戦の直前までは、すっかり落ちぶれた政治家だったんですよ。
彼は帝国主義者で、インドの独立に大反対してたのです。
ガンディーがロンドンへ円卓会議に参加することになったときも「ぼろきれ1枚まとって会議に出席するなんて言語道断」といっていたくらいです。

結局二次大戦は、イギリス帝国の没落とアメリカの台頭という結果に終わり、イギリスはヨーロッパの一国に落ちぶれてしまったわけですが。

彼の自伝「第二次世界大戦回顧録」を読んだだけでは「ほんとにドイツの危険性を前からわかってたの??」と疑ってしまうところですが、本当に時代を先駆けすぎてて人気がなかったんだなぁというのが良くわかります。
ドイツの脅威について、誤差はあるものの、イギリスの脆さは充分理解していたようです。

ヒトラーと比較されることの多いチャーチルですが、
ヒトラーは戦争がしたくて首相になりましたが、チャーチルは戦争によって政治家生命が救われたのです。
戦争がなければ、彼は落ちぶれた政治家で終わっていたでしょう。

残念なのは、こちらの本にもドレスデン空襲について特に何の言及がないところです。
関わってなかったにしても、なぜ全く触れられないのでしょうか。
イギリスのうしろめたさを感じます。

コレを読んでから回顧録を読むほうがいいかもな。
また読みたくなったもの。読む本があるからまだ読まないけど。

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