何度も言ってますが、マークの授業は黄金の20年代についてです。
今日はWW1終戦後からワイマール共和国崩壊までのテキストを、いくつかのテーマごとに分けて各自読んできて、その要約を述べるということでした。

私は自分の得意分野を選んだので、ドイツ語はともかく内容を理解するのはたやすかったです。
戦間期のベルリンの政治勢力図についてです。
SPDやらKPDやらDDPやらUSDPやらドイツ人得意の略語がぞろぞろ出てきて可笑しかったです。

私は西洋史を勉強してきたし、興味のある時代なので、ドイツ語はともかく、内容的にはとても楽しいのですが、どうやら他の子たちはしんどいようです。

歴史背景やら大まかな歴史の流れを知らないと、確かに難しいのかもしれない。
さらに言えば右とか左とか、そういうのがわからないと内容を理解するのは大変かもしれない。

お箸を持つほうの手のことじゃないよ。

20年代というのは本当に特殊な時代だったというのが、そういう知識ナシには理解できないと思うのです。

ドイツ語教室に通ってるのにドイツ史も勉強しなきゃならないハメになったのは彼らの不運だと思うのですが、私からしてみれば、そんなの常識じゃんと思ってしまうのです。

ゲッベルスが宣伝大臣になる前はNSDAPのベルリン支部長だったとか、そんなことが常識だと言ってるわけじゃありません。
ちなみに彼は演説が上手だったから、伝統的左派だったベルリンに送り込まれたんですって。
見事に32年の選挙では右派が大勝利してます。共産党が第1党だったらしいけど。

そんなマニアックな話はともかく、「ドイツが戦争に負けて、ヴェルサイユ条約で天文学的賠償金を課せられ、お金を印刷しまくって大インフレーションになって、社会問題は増える一方のところに共産主義者や国家社会主義者が甘い解決法を提案して国民の支持を得た」というのは常識だと思います。
西洋史を専攻していなくとも、知っていなければなりません。

しかし残念ながら今の日本は、誰がWW1で戦って誰が負けてどうなったか、何にも知らなくても生きてけます。むしろ知ってると「すごいね物知りだね」と言われます。
WW2で誰が戦って誰が負けて何がどうなったか、何にも知らなくてもエリート大学に入学できるし卒業できるし、一流企業にも就職できます。理論的には。もちろん本人の努力は必要です。

日本は「受験戦闘がひどいから、ゆとり教育を導入しよう」といって、受験に関係ない科目を削ったようですが、結局それは大学受験というしがらみから全く開放されていません。
むしろ「大学受験重視主義」が促進されています。

世界史を勉強させないということほど愚かなことはありません。
何度も述べていますが、世界史を学ぶということは、歴史を学ぶだけではなく、現代社会を見る目を育て、さらには未来の社会を築く目を育てることにつながるのです。

過去に目をそむけるものは、未来にも目を閉ざすのです。
日本の場合は過去に目を閉ざしてますが。

人類が歩んできた道のりを知らずして、どうしてよりよい社会を築くことができましょう。

「よりよい社会」ってなんかすごいあやふやな言い方だけど。

ちょうど先日ママが「国家の品格」を送ってきてくれました。
まえがきを読むと胡散臭い感じがしたのですが、「イギリスの名士に出会ったときに『「こころ」の先生の自殺と三島由紀夫の自殺には関係があるのか』と問いかけられて絶句した」という小話はおかしかった。

イギリスの名士は別ですが、外国人は日本のことをホント知りません。
だからいろんなことを聞いてきます。
いろんなテーマについて「日本はどうなの?」と尋ねてきます。
もちろん日本だけでなくどの国の子にも尋ねるのですが。

そういうことに即答できないととても恥ずかしい。
他の国の子は、本当かどうかわかんないけど即答してるのに。

ドイツに来てガッカリすることのひとつがそれです。
日本人は日本のことを本当に知らない。
私も人のこと言えた身分ではないですが、内容は薄くとも適当な回答をすることは出来ます。
「日本に教会はあるのか」と聞かれて、考え込むほどのことはありません。

東京に住んでいるせいもあるかもしれません。
外国の人は、日本と聞くと東京をまずイメージすると思います。次に京都だと思う。

自分の国のこともまともに解説できないのに、外国語ばかり上手になられても困ります、ということを「国家の品格」の筆者は述べてます。まさにその通り。
日本人が日本のことを全然知らないことが世界にばれてしまいます。

歴史や国語の時間を割いて、英語の勉強をさせる必要はないのです。
歴史・文化・社会を踏まえたうえで英語を勉強しなければ、「国際人」としては全く通用しません。

英語なんて、努力次第でなんとでもなります。
わざわざアメリカやイギリスに何年も住まなくたって、英語がしゃべれる人はたくさんいます。

重要なのは英語をしゃべることではなく、英語で何をしゃべるかなのです。

日本では英語がしゃべれるだけでモテる・すごい・国際人みたいなトレンドがあるせいで、英語の勉強を重視しすぎる傾向があります。

本当に「世界の中の日本人」に必要なものがナンなのか、今のお偉いさんたちにはわかっとらんのです。
よくわかんないけどアメリカの真似しときゃ間違いないと思ってたんだと思います。
そこが間違いだったのですが。

教養を身につけてこそ、世界に通用する人間になりうると思います。
私は雑学王ではなく、教養の高い人間になるべく努力しているつもりです。

コメント

nophoto
サイヤ人
2006年11月8日12:16

おおおおーーーーー
メルさんらしい日記っすね(笑)
拍手です拍手!!
「重要なのは・・・」ところは読んでるこっちが力入りました。思わず拳を握り立ち上がりました!(うそ)

俺も英語が話せるようになりたいなぁ〜
どこの国の人とも意思疎通が出来るようになりたい。
まだまだそのレベルです。
メルさんみたく外国の社会に溶け込んでいくと、そういう気持ちになるんでしょうね?
ちゃんと日本の文化・歴史を伝えたいって!
でもメルさんは特別かな?
たぶん多くの人はそこまで考えないんだろうなー。
さすがです。いやこれはホント

nophoto
せきやん
2006年11月8日19:54

いつもご迷惑かけてます
IDとパスワードを忘れて日記が書けません。
わすれたらで手順を追ってやっても返事が着ません。

お願いです
IDとパスワードの復旧方法を教えてください
メールアドレスはつぎの通りです

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